PELLE MORBIDA

29 .July .2019

+Talk

~旅と人生と丸山ゴンザレスさんVol.2~

「Life is Journey」

右 :ジャーナリスト、旅行作家、編集者 丸山ゴンザレスさん

左奥: PELLE MORBIDA PR 相田正輝

左前: PELLE MORBIDA営業 嘉納信人

 

相田 しかし本当にディープなところばかり行きますよね。それって単純に好奇心?興味本位?

丸山 例えば、アンコールワットをパッと見た時に、僕はその一番高いところに登りたいって思うんですよね。普通、思いません?

相田 思いません(笑)。

嘉納 多分ですけど、普通思わないと思います。

丸山 僕は普通にそう思うんですよね…。もちろんダメだとは思っているんですけど。でも、アンコールワットの一番高いところに登りたいっていう欲求だけが先走るっていうより、思い立ったことを実行する為のいろいろなプロセスを越えてくのが楽しいんです。アンコールワットについては、本当にやったら国際問題なんで、実際にはやりませんでしたけどね(笑)

嘉納 攻略する楽しさみたいな?

丸山 そういう感じです。

嘉納 躊躇することはないんですか?

丸山 しますよ。時差があるから、手続きが面倒くさいなとか。

相田 そっちですか?(笑) 身の危険とかじゃなくて?

丸山 そんなのは行ってみないと分からないからあんまり気になんないです。

 

ジャーナリストの使命感はない。

僕はただ情報屋なだけ。

相田 危険を顧みない取材をたくさんこなしていますが、そこには世の中のリアルを世界に発信したいという、いわゆるジャーナリストの使命感みたいなものはあるんですか?

丸山 僕はそういう高尚なのもは持たないようにしているんです。経歴を見ていただければ分かるように、ジャーナリズムのジの字にも触れてきてないんですよ僕は。便宜上ジャーナリストと名乗ってますけど、ジャーナリズムを勉強したことがない。危険地帯にはよく行きますが、「現地で命尽きても、これだけは世の中に伝えたい!!」みたいなことは一切思わないです。だからなんていうんですかね、『情報屋』でいいと思ってるんです。僕のスタンスとしては。

相田 情報屋。なるほど。

丸山 そうするとテーマの選び方とかも、自然と日本でみんなが興味持ちそうなものになていく。このネタをこういう風にパッケージングしたらみんな興味もってくれるんじゃないか、って思えるような題材になっていく。だから自分の興味だけが先走ることもあるけど、最近は需要がありそうだから行くっていうことの方が多いかもしれません。それを持ち帰ってきちんとお金にするのが仕事なんですよ。

相田 でもやっぱりそのモチベーションを支えるのは、本当のことを知りたい、真実を知りたいっていう欲求ですよね?

丸山 もちろんそうです。それに本当のところどうなっているのがみんな知りたいでしょ?って思ってる。だからそれがネタになる。それをぶつけた時世間がどんな反応をするか僕自身が興味ある。「面白いだろ?」ってバーンと出した時のみんなの反応が。

 

現地に行かないと始まらない。

自分自身が情報のソースにならないと。

 

丸山 それで、これが一番大事なんですけど、やっぱりとにかく何事においても“現地に行くしかない”んですよ。例えば、2016年、僕はハワイに取材に行きたいと雑誌の編集部に提案したんです。当時、ハワイの州知事が、人口比率に対してのホームレスのパーセンテージが全米で一番になったと非常事態宣言を出したからその現状を見たくて。平和なイメージのハワイとホームレスって面白いじゃないかと思って。でもそれって、行く前にいくら説明してもわからないんですよね。それ面白いのか?って。そんなの言ってみなきゃわからない。だから行くしかない。自分が体験して、見て、聞いて、情報を取る。一次情報としてもつ。そうするとどうなるか? 自分がソースになるんですよ。情報源になる。それが面白いんです。行ったことの無い人が、行った人に取材をして知った気になる。それが一番ダメなこと。自分はそうなりたくないっていつも思っています。たとえ何も情報が得られなかったとしてもとりあえず行く。それはものすごく大事なんです。

丸山 現実を見ること、現場に立つことは本当に大事だというエピソードをもうひとつ話してもいいですか?

相田 ぜひ。

丸山 2014年に香港で『雨傘革命』ってあったじゃないですか。金融街を占拠した学生たちのムーブメント。台湾でも同じようなことが起きた時に僕ちょっと取材をしていて、これは香港でもすごいことが起きると思って、デモが拡大する前に企画をいろんなところに出したんです。でもどこも受けてくれなかった。「その何が面白いの?」「何がすごいの?」と言われて…。まったく伝わらない!と思って、じゃあいいや自分で行こうと思って、行ったんですよ。そしたら学生たちに対して警官隊が攻撃して、催眠ガスなんかを使って、ぶつかり合いになった。デモとはいえ、まだ学生や高校生に対して政府側が過激な攻撃をしたことで、世界中が突然注目し出した。僕はすでに現場で取材していて、後追いのジャーナリストたちはまだ来ていないわけです。現場で「日本から取材に来ました」って言いながらウロウロしてたら、外国からジャーナリストが来たぞっていうことで、「どうぞ」前に通された。で、気づいたら、警官隊と向き合っているのが僕だった。いつの間にか一番前に立ってたんですね。さすがに僕も「何だこれ」と思いましたが、でもそのときすごい空気を感じたんです。今、世界中が注目している現場の一番最前線に立っているのが俺なんだと思ったときに、この空気を感じているのは今俺しかいないんだと思ったときに、「こういうことか!」と思ったんです。つまり正しいタイミングで、正しい場所に立つと、それだけで取材になるんです。だから僕の中では『ライト・タイム、ライト・プレイス』という言葉が焼き付いている。逆にいうと、それが全てなんです。日本人は理屈が先にあって、その後に現象をこねる癖があるんですけど、そうじゃないんですね。

相田 耳が痛いです…。しかし、すごいエピソードですね。感動しました。

 

 

Vol.03『何事も疑ってかかってほしい』に続く